自己肯定感が低いと感じるあなたへ
「どうせ私なんて」「うまくいかないのは自分のせい」「周りの人がみんなすごく見えてつらい」——。 ふとした瞬間に襲ってくる孤独感や、他人と比較して落ち込んでしまう夜。そんなふうに自分を責めてしまうことはありませんか? 自己肯定感が低い状態が続くと、生きているだけで息苦しさを感じ、まるで出口のない暗いトンネルの中に一人取り残されたような気持ちになるかもしれません。
「もっと自信を持ちなよ」「気にしすぎだよ」と周りは簡単に言うけれど、それができないから苦しんでいるんですよね。 でも、どうか安心してください。 あなたが今そう感じているのは、決してあなたの性格が悪いからでも、能力が低いからでもありません。そして、あなたが弱い人間だからでもありません。
自己肯定感は「心の体力」のようなものです。風邪をひけば体力が落ちるように、生きていれば誰しも、心が疲れて自分を好きになれない時期があるものです。特に、優しくて真面目で、人の気持ちを大切にする人ほど、自分のことを後回しにしてしまい、自己肯定感のタンクが空っぽになりやすいのです。
この記事では、「自己肯定感が低い」と悩む方に向けて、その正体や原因を心理学的な視点も交えてやさしく、かつ深く解説します。 さらに、ただ原因を知るだけでなく、「今日からできる具体的な高め方(ワーク)」や、仕事・恋愛・育児など「場面別の対処法」まで、網羅的にご紹介します。
読み進めるうちに、複雑に絡まった心の糸が少しずつほどけ、「今のままの自分で大丈夫なんだ」「完璧じゃなくても生きていていいんだ」と思えるヒントが必ず見つかるはずです。 この記事が、あなたの心を軽くし、これからの人生をあなたらしく歩むための「お守り」のような存在になりますように。ゆっくりと、深呼吸しながら読み進めてみてください。
自己肯定感とは?「ありのままの自分」を認める6つの感覚

自己肯定感をやさしく解説:自信とはどう違う?
最近よく耳にする「自己肯定感」という言葉。漠然と「自分に自信があること」だと思っていませんか? 実は、自己肯定感と自信はイコールではありません。ここを混同していると、間違った努力をしてさらに苦しくなってしまいます。
「自信」とは、「仕事ができた」「試験に受かった」「試合に勝った」といった「Doing(行為・成果)」に紐づいています。「〜ができる自分はすごい」という感覚です。これは素晴らしいものですが、失敗したり、成果が出なくなったりすると簡単に崩れてしまう脆さがあります。
一方、「自己肯定感」とは、「どんな自分でも“これでいい”と思える心の土台」のことです。 テストで100点を取った自分(成功)だけでなく、0点を取って落ち込んでいる自分(失敗)も、「それも今の私だよね」「頑張ったけどダメだった、まあいいか」と、無条件に受け入れられる感覚です。 いわば、「生きていていい」「ここにいていい」という「Being(存在)」に対する肯定です。
例えるなら、自己肯定感は「土地(地盤)」で、自信は「家(建物)」です。 地盤(自己肯定感)がぐらぐらしているのに、立派な家(自信・スキル・成果)を建てようとしても、少しの地震(失敗や批判)ですぐに倒壊してしまいます。逆に、地盤さえしっかりしていれば、家が壊れても、何度でも建て直すことができます。 自己肯定感が低い人がまずやるべきなのは、家を建てること(スキルアップや成功体験)ではなく、地盤を固めること(自己受容)なのです。
「自己肯定感」とは、どんな自分でも「これでいい」と思える心の土台です。たとえば、テストで失敗しても「頑張ったからOK」と思えたり、誰かに注意されても「私は私」と受け止められる感覚のこと。完璧じゃなくても、間違えても、他の人と違っても、“今の自分”をそのまま認めてあげられる状態が「自己肯定感が高い」といえます。
自己肯定感を構成する「6つの感」
日本自己肯定感協会などの定義によると、自己肯定感は一つの感情ではなく、以下の6つの要素(感覚)によって支えられているとされています。これらを知ることで、自分がどこでつまずいているのかが分かりやすくなります。
自尊感情(自分には価値がある)
自分はかけがえのない存在であり、大切にされるべき人間だと思える感覚。「I am OK」の感覚です。
自己受容感(ありのままを認める)
良い部分も悪い部分も、否定せずに受け入れる感覚。「私は私でいい」と、今の自分に○を出せる力です。自己肯定感が低い人は、ここが欠けているケースが最も多いです。
自己効力感(自分ならできる)
「私ならこの困難を乗り越えられる」「やればできる」という可能性を信じる感覚。これが低いと、新しいことに挑戦できなくなります。
自己信頼感(自分を信じる)
自分の判断や行動を信じられる感覚。「自分が選んだ道だから大丈夫」と、自分の選択に責任を持てる状態です。
自己決定感(自分で決める)
人生を自分でコントロールしているという感覚。親や他人に言われた通りに生きていると、この感覚が育たず、幸福度が下がります。
自己有用感(誰かの役に立っている)
社会や周囲の中で、自分の存在意義を感じられる感覚。「ありがとう」と言われることで育ちます。
これら6つの感覚は互いに関連し合っています。まずは「2. 自己受容感」を高めることが、全ての土台となります。
なぜ今、自己肯定感が注目されているの?その理由を考察
現代社会は、自己肯定感を保つのが非常に難しい時代だと言われています。 その大きな要因の一つがSNSです。InstagramやX(旧Twitter)を開けば、他人の「成功」「充実」「幸せ」の瞬間ばかりが流れてきます。本来比較すべきでない「他人のハイライト(最高の瞬間)」と「自分の舞台裏(日常)」を無意識に比較し続け、脳が「自分は劣っている」と錯覚してしまうのです。
また、日本の「謙遜」を美徳とする文化や、「空気を読む」ことを強要される同調圧力も影響しています。自分の長所を認めることが「自慢」と捉えられ、出る杭は打たれる環境では、「私は素晴らしい」と胸を張ることが難しくなります。 内閣府の調査(「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」)でも、日本の若者は欧米諸国に比べて「自分自身に満足している」割合が極端に低いというデータが出ています。これは個人の問題ではなく、社会構造的な問題でもあるのです。
【セルフチェック】自己肯定感が低い人の特徴と行動パターン

「もしかして私も自己肯定感が低いのかも?」と感じたら、以下の特徴をチェックしてみてください。これらは「あなたの悪いところ」ではなく、「自己肯定感が低下しているサイン」に過ぎません。風邪をひいたときに熱が出るのと同じです。まずは客観的に自分を知ることから始めましょう。
思考のクセ
あなたを苦しめる自動思考(認知の歪み)
自己肯定感が低い人は、物事を捉えるときに特有の「認知の歪み(思考のクセ)」が現れやすくなります。
・0か100か思考(完璧主義)
「すべて成功しなければ、すべて失敗だ」と思い込む傾向です。99点でも「1点足りなかった自分」を責め、自分を許せません。グレーゾーンを受け入れられないため、常に緊張状態で生きています。
・マイナス化思考(フィルタリング)
良い出来事があったとしてもそれを無視し、悪い出来事だけに注目してしまいます。例えば、9人に褒められても、1人に批判されたら「私はダメだ」と思い込みます。褒め言葉を「お世辞だ」「何か裏がある」と受け取り拒絶します。
・過剰な他人比較
常に誰かと自分を比べています。「あの人はあんなにすごいのに、私は…」と落ち込みます。他人の成功を素直に喜べず、嫉妬してしまう自分にさらに自己嫌悪を感じるという悪循環に陥ります。
・すべき思考
「親ならこうあるべき」「30代なら結婚しているべき」「男なら弱音を吐いてはいけない」という独自のルールに自分を押し込め、そこから外れる自分を罰します。
行動の特徴:無意識にやっていませんか?
・断れない(NOが言えない)
嫌われたくない一心で、無理な頼み事や飲み会の誘いも引き受けてしまいます。自分の時間や体力を犠牲にして他人に尽くし、後でドッと疲れるパターンを繰り返します。
・謝り癖がある
自分が悪くないのに、とりあえず「すみません」と言ってしまいます。口癖が「ありがとう」ではなく「ごめんなさい」。謝ることでその場の空気を丸く収めようとする防衛本能です。
・挑戦を避ける
「どうせ失敗する」「私には無理」と最初から諦め、新しいチャンスを逃してしまいます。失敗して傷つくことを極端に恐れているため、安全な現状維持を選びがちです。
・本音が言えない(カメレオン)
「相手に合わせて意見を変える」「空気を読みすぎて疲れる」。これは「他人軸」で生きている状態です。自分の気持ちよりも他人の評価を優先してしまい、「自分が本当は何を感じているか」が分からなくなっています。
人間関係の傾向:依存と試し行動
人間関係、特に恋愛や親しい関係においても、自己肯定感の低さは影を落とします。
・見捨てられ不安
「いつか嫌われるんじゃないか」「本当の自分を知られたら離れていくんじゃないか」と常に不安です。パートナーや友人の顔色を伺いすぎ、LINEの返信が遅いだけでパニックになります。
・依存・共依存
自分一人では自分の価値を感じられないため、他人に必要とされることで心の穴を埋めようとします。「尽くしすぎる」ことで相手をダメにしてしまう共依存関係や、ダメなパートナーに引っかかりやすいのもこのタイプです。
・試し行動
わざと相手を困らせたり、無理難題を言ったり、別れを切り出したりして、「それでも愛してくれるか」を試そうとします。相手が追いかけてくれることで一時的に安心感を得ようとしますが、繰り返すと相手は疲弊して離れていきます。
もし多く当てはまっても、落ち込まないでください。「今はそういう状態なんだな」「心がSOSを出しているんだな」と気づくだけで、解決への第一歩はすでに踏み出せていますよ。
なぜ低くなる?自己肯定感を下げる5つの根本原因

「なぜ自分はこんなに自信が持てないのだろう」 「周りの人は普通に生きているのに、なぜ私だけこんなに生きづらいの?」
その原因は、決してあなたの努力不足ではありません。多くの場合、幼少期の経験、過去の出来事、環境、そして脳の仕組みが複雑に絡み合っています。原因を特定し、「自分は悪くなかったんだ」と腑に落ちる瞬間(納得感)が、自己受容への大きな一歩となります。
① 幼少期の親子関係(愛着の問題・インナーチャイルド)
自己肯定感の基礎は、幼少期、特に0〜6歳頃の親との関係性の中で形成されると言われています。
・条件付きの愛情
「テストでいい点を取ったら褒める」「手伝いをしたら可愛がる」「泣いたら愛さない」といった育てられ方です。ありのままの自分(存在)ではなく、「成果を出した自分(行為)」しか愛されないと感じて育つと、大人になっても「頑張り続けないと愛される価値がない」という強迫観念を持ちます。
・過干渉・過保護・支配
親が先回りして何でも決めてしまったり、子供の意見を否定して親の価値観を押し付けたりする場合です。「自分で決める力(自己決定感)」が育たず、「自分には能力がない」「自分の決定は間違っている」と感じやすくなります。
・ネグレクト・虐待
身体的な虐待だけでなく、無視される、話を聞いてもらえないといった心理的ネグレクトも深く傷を残します。「自分は重要ではない人間だ」という根深い思い込み(スキーマ)が形成されます。
・否定的な言葉の呪縛
「お姉ちゃんはできるのに」「お前はダメな子だ」「橋の下で拾ってきた」といった言葉は、大人になっても「インナーチャイルド(内なる傷ついた子供)」として心に残り続け、自分を責める声となります。
② 過去のトラウマ・失敗体験
思春期以降の経験も、自己肯定感に大きく影響します。
・学校でのいじめ・孤立
集団の中で拒絶された、笑われた、無視されたという経験は、「自分は人に受け入れられない異質な存在だ」という強烈な思い込みを作ります。対人恐怖の根源になることもあります。
・失恋・受験や就活の失敗
全力を出したのに結果が出なかった、大好きだった人に振られたという経験が、「どうせ自分は選ばれない」「努力しても無駄だ」という学習性無力感(何をしても状況は変わらないという諦め)を生むことがあります。
・ハラスメント
職場でのパワハラ、セクハラ、モラハラによって、人格を否定され続けると、どんなに自己肯定感が高かった人でも急速に自信を失います。これは「環境による事故」のようなものです。
③ 日本の文化的背景と教育
日本特有の文化も無関係ではありません。 「謙遜」を美徳とし、「空気を読む」ことを強要される社会では、自分の長所を認めることが「自慢」「調子に乗っている」と捉えられがちです。 また、学校教育においても「みんなと一緒」が良いとされ、個性を否定されたり、減点方式で評価されたりしてきた経験を持つ人も多いでしょう。「平均的であること」が求められ、飛び抜けた才能や個性が「異物」として扱われる環境では、自己肯定感を育むのは困難です。
④ SNSによる「比較疲れ」と承認欲求
現代特有の原因です。SNSには他人の「切り取られた最高の瞬間」ばかりが流れてきます。高級なランチ、素敵なパートナー、充実した仕事…。それと自分の「パッとしない日常」を無意識に比較し続け、脳が「自分は劣っている」「置いていかれている」と錯覚してしまうのです。これを「比較疲れ」と呼びます。 また、「いいね」の数で自分の価値を測ってしまうようになると、他人の評価に一喜一憂する人生になってしまいます。
⑤ 脳のメカニズムと気質(HSPなど)
自己肯定感の低さは、性格ではなく「脳のクセ」や「気質」である場合もあります。
・セロトニン不足
安心感や幸福感をもたらす脳内物質セロトニンの分泌が少ない、あるいは機能しにくい体質の人は、不安を感じやすく、ネガティブな思考に陥りやすくなります。
・HSP(Highly Sensitive Person)
生まれつき感受性が強く、他人の感情や光・音などの刺激に敏感な気質の人(人口の約20%)。深く考えすぎる傾向があり、他人の機嫌が悪いと「自分のせいかも」と責めてしまうなど、自己否定に陥りやすい側面があります。
原因は一つではありません。これらが複合的に絡み合って、今のあなたの心の状態を作っています。

〈心理カウンセラーのコメント〉
「過去の事実は変えられませんが、過去の意味づけ(解釈)は変えられます。『あの時の自分は、あの環境の中で精一杯生きていたんだ』と認めてあげることが、癒しのスタートです。」
今日からできる!自己肯定感を高める7つの習慣とワーク


ここからは、具体的な解決策(How-to)の実践編です。 自己肯定感は、一朝一夕に高まるものではありません。筋トレと同じで、毎日の小さな習慣の積み重ねで、少しずつ「心の筋肉」を育てていくものです。 いきなり全部やる必要はありません。「これならできそう」「楽しそう」と思ったものを一つ選んで、ゲーム感覚で試してみてください。
① 【言葉のワーク】「リフレーミング」でネガティブを変換する
「リフレーミング」とは、物事の枠組み(フレーム)を変えて、別の視点から見ることです。短所だと思っている部分を、長所に言い換える練習をしましょう。物事には必ず裏と表があります。
実践例:
「飽きっぽい」→「好奇心旺盛、切り替えが早い、多趣味」
「心配性」→「リスク管理ができる、慎重、計画性がある」
「うるさい」→「賑やか、明るい、ムードメーカー」
「仕事が遅い」→「丁寧、確実、こだわりがある」
「頑固」→「芯が強い、意志が固い」
「暗い」→「落ち着いている、思慮深い」
自分を責める言葉が出そうになったら、「いや待てよ、これをポジティブに言い換えると…?」と変換してみてください。最初は無理やりでも構いません。脳の回路を書き換えるトレーニングです。
② 【書くワーク】「3行日記(ジャーナリング)」
寝る前に、その日あった「良かったこと」「できたこと」を3つだけ書き出すワークです。 すごいことでなくて構いません。当たり前のことでOKです。
実践例:
朝、目覚まし一回で起きられた。
ランチのパスタが美味しかった。
帰りの電車で座れた。
空が綺麗だった。
生きていた。
脳は本能的に「危険なこと」「欠けているもの」を探す癖があります(ネガティビティ・バイアス)。強制的に「あるもの」「できたこと」を探す習慣をつけることで、脳のフィルターをポジティブに変えていきます。これを3週間続けると、幸福度が上がることが研究でも証明されています。
③ 【行動のワーク】「スモールステップ」法
自己肯定感が低い人は、高すぎる目標を立てて挫折し、さらに自信を失うパターンが多いです。 大きな目標を立てず、絶対に達成できる「笑っちゃうくらい小さな目標」をクリアし、「できた!」という感覚(自己効力感)を貯金します。
実践例:
×「部屋の大掃除をする」
○「テーブルの上にあるレシートを1枚捨てる」
×「毎日1時間運動する」
○「駅でエスカレーターではなく階段を使う」「CMの間だけスクワットする」
×「英語をマスターする」
○「単語を1日1個見る」
「こんな簡単なことでいいの?」と思うくらいでOKです。大切なのは成果の大きさではなく、「自分との約束を守れた」という実績です。それが確かな自信に変わります。
④ 【身体のアプローチ】姿勢とセロトニン
心と体は繋がっています。うつむいて猫背になっていると、脳は「今は自信がない状態だ」と判断し、気分も沈みます。逆に、ポーズを変えるだけでホルモンバランスが変わります。
パワーポーズ:
胸を張り、両手を腰に当てて仁王立ちする、あるいは両手を突き上げるガッツポーズを2分間とる。これだけで、ストレスホルモン(コルチゾール)が減り、自信のホルモン(テストステロン)が増えるという研究結果(エイミー・カディ氏の研究)があります。
朝日を浴びる・リズム運動:
セロトニンを増やすために、朝起きたらカーテンを開けて15秒日光を浴びる。ガムを噛む、ウォーキングなどの一定のリズムを刻む運動も効果的です。
⑤ 【人間関係】「自分軸」を取り戻す境界線(バウンダリー)
他人の期待に応えるのをやめ、自分と他人の間に適切な境界線(バウンダリー)を引きます。
I(アイ)メッセージ
主語を「あなた」ではなく「私」にして伝えます。
×「(あなたが)なんで連絡してくれないの?」(責める言い方になる)
○「(私は)連絡がないと寂しい」「(私は)こうしてくれると嬉しい」
自分の感情を伝えるだけで、相手をコントロールしようとしないのがポイントです。
嫌われる勇気を持つ(2:6:2の法則)
全員に好かれるのは不可能です。どんなに素晴らしい人でも、「2割は自分を嫌い(攻撃する)、6割は無関心、2割は自分を好き(味方)」という法則があります。自分を嫌う2割の人にエネルギーを使うのをやめ、自分を好きでいてくれる2割の人を大切にしましょう。
⑥ 自分の「心地よい」を知る(五感ケア)
自己肯定感が低い人は、他人の機嫌ばかり伺って、自分の感覚を麻痺させていることが多いです。「自分が何をしたいか分からない」状態です。 五感を満たして「自分を大切に扱う(セルフコンパッション)」練習をします。
触覚: 肌触りの良いパジャマやタオルを使う。動物を撫でる。
嗅覚: 好きな香りの入浴剤を入れる。コーヒーの香りを嗅ぐ。
味覚: コンビニのスイーツでも、スマホを見ながらではなく、一口ずつ味わって食べる。
視覚: 自然の風景や、推しの写真を見る。
「私は今、これを心地よいと感じている」という感覚を取り戻すことで、「自分」という輪郭がはっきりしてきます。
⑦ 「休むこと」を自分に許可する
頑張り屋さんは「休む=サボり」「生産性がない=悪」と思いがちです。 しかし、充電切れのスマホが動かないように、人間も充電が必要です。 「今日は何もしない日」と決め、ダラダラすることに罪悪感を持たない練習をします。「休むのも仕事のうち」「休むことは、明日頑張るための投資」と言い聞かせてください。
回復の過程で起こること|「好転反応」と無理しないコツ


自己肯定感を高める取り組みを始めると、右肩上がりに一直線に良くなるわけではありません。必ず「揺り戻し」や「停滞期」が来ます。これを知っておくことで、途中で挫折しなくなります。
揺り戻し(やっぱりダメだ)は必ず来る
数日調子が良くても、ある日ドカンと落ち込むことがあります。これは脳が「変化」を恐れ、元の慣れ親しんだ状態(自己否定の状態)に戻そうとする機能(ホメオスタシス:恒常性維持機能)です。 今までネガティブだった人が急にポジティブになろうとすると、脳は「異常事態だ!元に戻れ!」と指令を出します。 落ち込んだ時は「あ、揺り戻しが来たな。順調に変化している証拠だ」「脳が現状維持しようと頑張ってるな」と客観的に捉えてください。三歩進んで二歩下がるペースで大丈夫です。
偽の自己肯定感(万能感・ダニングクルーガー効果)に注意
「俺はすごいんだ!」「私は特別なの!」と虚勢を張ったり、他人を見下したりするのは、本当の自己肯定感ではなく「肥大した自尊心(万能感)」です。 これは、根底にある劣等感を隠すための鎧であり、非常に脆く、崩れやすいものです。 目指すのは「すごくなくても、まあいいか」「私は私でいいか」という、静かで穏やかで、温かい感覚です。
「変わらなきゃ」という執着を手放す
ここが一番のパラドックス(逆説)ですが、「自己肯定感を高めなきゃ!」と必死になりすぎると、今の自分(自己肯定感が低い自分)を否定することになります。これでは本末転倒です。 「高まってもいいし、低いままでもいい」「まあ、ぼちぼちやるか」くらいの緩いスタンスで、気長に取り組むのが一番の近道です。
ひとりで抱え込まないために|専門家の活用と相談
どうしてもつらい時、日常生活に支障が出る(眠れない、食べられない、会社に行けない)レベルの時は、自分ひとりで頑張る段階を超えています。骨折した時に自力で治そうとしないのと同じで、心の骨折も専門家の手当てが必要です。
カウンセリングを受けるメリット。カウンセラーは「心の伴走者」


自分を客観的にみてみる
自分の思考のクセ(認知の歪み)を客観的に指摘してもらえます。
カタルシス効果: 安全な場所で、誰にも言えなかった本音や過去の傷を吐き出すことで、心が浄化されます。
過去を癒す
過去のトラウマを癒すための専門的な心理療法を受けられます。「話を聞いてもらうだけでお金を払うなんて」と思うかもしれませんが、プロの傾聴は、友人の相談とは全く別物です。一度利用してみることをお勧めします。
おすすめの書籍やアプリの活用
書籍
『嫌われる勇気』(アドラー心理学)、『自己肯定感の教科書』(中島輝著)など、自分に合う本を一冊見つけて、つらい時に読み返す「お守り」にしましょう。
アプリ
認知行動療法アプリ(思考記録など)や、マインドフルネス瞑想アプリを活用し、客観的に自分を見る練習をするのも有効です。
自己肯定感を簡単に上げたい時は、カウンセリングがおすすめ


ここまで、「自己肯定感が低い」ことについて、その正体や原因、そして具体的な高め方まで、長い旅路をご一緒してきました。 かなりのボリュームでしたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。それだけで、あなたは「自分を変えよう」と行動した素晴らしい人です。
もし、ここまでのワークを試しても「やっぱり自分ひとりでは難しい」「どうしてもネガティブな思考に戻ってしまう」と感じたら、カウンセリングを利用するのが一番の近道です。
自分一人で自己肯定感を上げようとすると、どうしても「思考のクセ(認知の歪み)」に邪魔されて、同じ場所をぐるぐると回ってしまいがちです。 カウンセラーは「心の伴走者」であり、「思考の整理のプロ」です。客観的な視点で、あなたを苦しめる思い込みを優しく解きほぐしてくれます。 「話を聞いてもらうだけでお金を払うなんて」と思うかもしれませんが、プロの傾聴は、友人の相談とは全く別物です。自分への投資として、一度利用してみることをお勧めします。



