人生の終わりについて考える活動である「終活」。
「自分はまだだけど、親は終活を考える時期になってきた」という方も多いのではないでしょうか。
終活と聞くと本人が行うものと捉えがちですが、家族が一緒に行うのだって立派な終活。
そこで今回は本人だけでなく、家族も一緒にできる終活についてご紹介していきます。
親の終活の準備が大切な3つの理由
まずは、家族が一緒に終活を行うことによるメリットを3つご紹介します。
家族の負担が減る
亡くなった直後は葬儀をどうするか?規模は?参列者は?遺影はどれにする?とバタバタしてしまいますし、
少し時間が経って遺品整理や資産の相続などを行う際には、聞いてない!知らない!という事態が起こりがち。
何も準備していないと、亡くなったあとに死を悲しむ余裕すらなくなってしまうのです。
しかし、事前に本人の意思を聞いておけば、その時がきても慌てずに対応することができます。
少しでも不安なことがあれば、今のうちに親に尋ねて納得できるまで話し合い、答えを明確にしておきましょう。
手続きなどについての理解度が高くなる
資産や財産の相続について、口座について、宗教についてなど、様々な手続きや決まりごとについて学ぶ必要がある終活。
親自身と一緒に進めることで、
「この不動産はこうして管理したらいい」「預貯金はこの口座にこのパスワードで入っている」など、
具体的な情報を事前に確認し、情報不足のものはどうしたらいいかなど対策を立てておくことができます。
自分もそこに関わっておくことで、いきなり提示された場合に比べ、より理解が深まっている状態で実際の手続きに移ることができ、
親と意思疎通ができなくなって慌てて準備するといった事態を避けることが可能です。
家族の絆が深まる
終活について話し合うことで、必然的に家族間のコミュニケーションが増えます。
終活に必要なことを話しているうちに思い出話に花が咲く…なんてこともあるはず。
時には話を脱線させながら、少しずつ互いに後悔のないように準備を進めていくことで、家族の絆がより強固なものになっていくはず。
また、親本人がやりたいことや行きたいところに家族で一緒に行くなど、思い出づくりとしても機能してくれることでしょう。
家族で一緒にできる終活3つ
お互いが幸せに過ごせるようにするための、家族での終活。
ここでは、家族で一緒にできることを3つご紹介します。
エンディングノートでいざという時に備える
エンディングノートは、自分に何かがあって誰かが見た時にどう対応したらいいかを詳細に記しておくノートです。
エンディングノートとは、自分自身に何かあったときに備えて、ご家族が様々な判断や手続を進める際に必要な情報を残すためのノートです。また、生活の備忘録として、そして、これまでの人生を振り返り、これからの人生を考えるきっかけ作りにするものです。
引用:法務省 / 日本司法書士会連合会「エンディングノート」(https://www.moj.go.jp/content/001395858.pdf)
1人だと中々書き進められないかもしれませんが、家族みんなで取り組めば楽しく埋めていけるはず!
主に下記の項目について話し合いながら、メモを取るように書いていくのが良いでしょう。
- お金・資産
- 病院・介護施設
- 葬儀・お墓
- デジタルデータ
特にお金や資産の相続については揉めやすいポイントですので、しっかりと話しあっておくようにしましょうね。
夢や希望も絶対に大切!バケットリストを書く
バケットリストは、最期を迎えるまでにやっておきたいことリストです。
バケットリストとは、死ぬまでにやりたいことの一覧。(「やらなければならないこと」ではない。)
バケット(bucket)は英語で「バケツ」、kick the bucketで、「死ぬ(亡くなって棺桶に入ること)」という意味。ここから転じて、「死ぬまでにやりたいことリスト」となった。
引用:「中楽坊」スタイル バケットリスト【高齢期に関わる用語集】(https://www.highness-co.jp/churakubou/detail/269)
こちらはエンディングノートのように相続のことや葬儀のことなどではなく、
これからやってみたいこと・やってみたいと思っていたことについて書くため、少しカジュアルな雰囲気で取り組むことができます。
1人でやってみたいこと、家族とやってみたいこと、友達とやってみたいことなど「誰とするか」、必要な費用などの「規模」、というように項目で分けてみたり、
そのために何が必要か、どういう準備がいるか、という部分から考えてみたり…。
さまざまな切り口で書き出していくことで、より現実的な目標として捉えることが可能になるかもしれません。
また、「家族みんなでそれを叶えよう!」と思い出作りに一丸となり、絆を深めるきっかけとなるでしょう。
身の回りの物品整理でスッキリ
物理的な物の整理も、親が元気なうちに一緒に進めておきましょう。
事務的な手続きはエンディングノートである程度把握しておくことが可能ですが、
「先祖代々引き継いできた物かもしれない…」「必要そうに見えるけど何に使うものか見当もつかない」など、
遺品の整理は家族の一存で決めることが難しい場合もあります。
今から断捨離を行うのは難しいという方も、
絶対に捨てないでほしい、捨てて大丈夫、家族の選択に委ねる、など、
いくつかの分類分けをしておくだけでも、後々整理がしやすくなるでしょう。
親の終活のために、家族が気をつけたいこと3つ
ここまでは家族で終活を行うメリットや具体的に取り組んでいくことをご紹介してきました。
ただ、終活という話題はデリケートなもの。
ここからは、家族全員が嫌な気持ちにならないための注意点を3つご紹介します。
親本人の意思を大切にしてあげる
いくら家族で進めていくといえ、最終的に主役となるのは親本人。
本人の意思を無視して家族だけで勝手に決めることは、絶対に避けましょう。
家族が行うのはあくまでも、意見が出しやすいようにしてあげたり、相談に乗ったりするサポートです。
その認識を間違って、親子関係が悪化してしまわないよう注意しましょう。
親が元気なうちに始めておくことがポイント
「うちの親は元気だし、まだ終活なんてする歳じゃない」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、元気がなくなってから始めてしまうと、親自身の考える力が衰えてしまっていて、
その答えが本当に本人の意思なのか、判断することが難しくなってしまいます。
受け答えができるうちに、そして体が動くうちに準備を終わらせておき、
残りの時間は行きたいところに行ったり、やりたいことをやったりして過ごせるよう、環境を整えておきましょう!
家族全員で一緒に取り組むイベントへ
先ほど、親本人の意見が最優先と書きましたが、家族全体での意見をまとめていくことも重要なポイントです。
特に資産や財産の相続では、兄弟が多いほどトラブルが起きる可能性が高くなりますので、家族全員でしっかり話し合う必要があるでしょう。
また、手続きのことで家族の誰かひとりに極端に負担を負わせないよう、みんなで一緒に考えていくことも重要です。
親がどうしたいか、そして家族全員の意見はどうか、家族関係にヒビが入らないように少しずつ進めていきましょう!
家族が一緒に行う終活、取り組んでみませんか?
今回は本人だけでなく、家族が一緒に行う終活についてご紹介してきました。
改めてそのポイントを振り返ってみましょう。
家族で行う終活の目的とメリット
・家族の負担が減る
・手続きなどについての理解度が高くなる
・家族の絆が深まる
家族で一緒にできる終活3つ
・エンディングノートを書く(お金、資産/病院、介護施設/葬儀、お墓/デジタルデータ)
・バケットリストを書く(これから先やりたいこと)
・身の回りの物品整理
家族が気をつけたいこと3つ
・親本人の意思を尊重する
・親が元気なうちに始めておく
・家族全員で取り組む
親を中心に家族全員で取り組むことで、絆を深めるきっかけとなる終活。
ひとりでは難しくても、家族全員で少しずつ取り組んでいけば、お互いに後悔や不安のない時間を過ごすことができます。
終活を始めるのに早すぎるということはありません。
家族みんなが幸せになるための準備として、まずは話題を出してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。